ロミオとジュリエット:若さは恋の翼となるか

若えロミジュリはいいな〜〜〜〜!!!!!!!!

 
もうマジ極論これなんですけど、ほんとに、道枝駿佑と茅島みずきがこの年齢の今、ロミオとジュリエットを演じてくれて本当に良かった。
公式サイトにもあるとおり、”原作に近い若い年代の二人”、もうそれ。ほんまそれ。若い二人の演じるロミジュリ、めっちゃくちゃよかった~~~!!!!
しゅんちゃんの年齢はもちろん知ってたけど茅島ちゃんるうくと同学年と知ってめちゃくちゃびびりましたよくぞこんな役周りをこの歳で…!!

(ここから自分語りなので道枝駿佑のロミジュリの感想読みたい人は飛ばしてくださいね)
これまでわたしにとってロミオとジュリエットは、とても、"しっくりこない悲劇"でした。
専攻が一応英文学だったのでシェイクスピアにはもちろん触れてきたし、ロミジュリの上演も在学中に複数回観ました。
でも、なーんかどうも、両家のしがらみに翻弄されるロミオとジュリエットとか、一晩でいきなり恋に落ちて結婚までしよう!となる無鉄砲さとか、相手の死を疑うことなく直情的に後を追ってしまう愚かさとか、拠り所になる大人がたった一人の神父しかいないとことか、すとんと落ちて来ない部分がとても多かった。
ロミジュリ、言うて悲劇っていうかすれ違い多すぎの喜劇やん???くらいに思ってた節さえあったんですよね、ぶっちゃけ…いや一応そういう恋愛喜劇的な解釈もあるんだけどロミジュリ…。
 

あの日わたしが見た道枝駿佑と茅島みずきのロミオとジュリエット、ちゃんと悲劇だった。
わたしの想像力の無さを補って余りある二人の若さと、若さと、ていうか若さなんだけど、お前若さしか褒めるとこないのかよって思うかもしれないけど、それはもちろん全然そんなことないんだけど、マジで!ほんとうに!この年齢で!ロミオとジュリエットやったことに!意味があるのすごく!!!!!!!

恋の無鉄砲さとか素直さ純真さ思い込みの強さ、どれも半端に大人が演じるとサムいとこがあるんだけど、ぜんぶ、ぜーーんぶ、しゅんちゃんと茅島ちゃんがやるからこその説得力がすごい。
18歳と16歳の彼らが真っ向から花の都のヴェローナで起きた5日間の悲劇に挑んだこと、それが何よりこの舞台に説得力を持たせたんじゃないかなあ、とおもう。
というわけで演者に対する感想です。
 
しゅんちゃんロミオ、恋に恋してロマンティック浮かれモードででっかいバカイヌわんわんでめ〜〜〜ちゃくちゃかわいい!!!
いやあもうかわ…かわいい…かわいかった……ロザラインがなびかないよ〜!!!てなんかそれっぽい言い回しながら実際ヤりたいだけやんけみたいな言い草で嘆いてるのもジュリエットに出会ってあっさり手のひら返すのも庵で再会したジュリエットに早くくっつきたすぎて向かって行っては間に立ってる神父さんにちぎっては投げちぎっては投げされるのもまじずっとわんわん…大型犬…このちぎっては投げされてるとこマジ超可愛すぎてわたしはgifが欲しい…………転がり方がお見事さすがジャニーズの運動神経…………ロレンス神父との絡みはほんとうに微笑ましくて愛らしかったです。薬草バーン!と積んでかごに放り投げるところもかわいかった。

きれいなお顔をくしゃくしゃにして恋の悲嘆に暮れるのも、ふんわり眉毛をふにゃあっと蕩かせてジュリエットへの愛を語るのも、覚悟を決めた悲壮な顔も、どれもほんとうに素晴らしかった、どの瞬間も"道枝駿佑"じゃなく、"モンタギューのロミオ"だった。
彼があんなコメディっぽく振り切れた演技もできるの知らなかった、バルコニーシーンの浮かれたかんじがすごくきちんとコメディで、思わずくすりとさせられました。

浮かれのニコニコの表現なのか、おめめを細めるお顔が多かったのが(彼の目が好きなので)ちょっと残念だったけど、その分きりりと目を開いた時の美しさが際立っててよかったのかも。あと筋トレ頑張ったとは聞いてたけどかなり肩周りがしっかりして大人の体格になっててアオハルぶりに生でお姿を見る祖母は泣きました。しゅんちゃんがおとなになっていく…………

殺陣についてはわたしは詳しくないのでアレなんですが、やっぱり身のこなしが凄く軽いですね、翻るような殺陣なのが若者らしくてよかった。
わたしはしゅんちゃんの滑舌の甘さをマジで100%心から愛しているのでこれは本当にdisではないのですが、あんな、あんな、「なにぁだんしのみちぇーらしゅんすけぇす!」言うてた子が、あんなややこしいシェイクスピアの長台詞をひとつも噛まずにやりきるなんて、これが感動せずにいられるか…!!わたしの聞く限り一度も噛んでなかったと思います、ほんとうにすごかった…!

一幕の恋に恋してジタバタしてる思春期ぽさ、友達とつるんで下ネタ言っちゃう男の子感、すごーく今の年頃だからこそのしっくりぴったり来る感じがよかったなあ。でもマキューシオの言葉が過ぎてくると壁際でちょっと引いてるお育ちの良さがめちゃしゅんちゃんみでサイコーだった、そうよロミオは品行方正…。ジュリエットに『お作法通りのキス』って言われるのもめちゃくちゃしゅんちゃんみ…もはやロミオ、当て書きなのではというくらいわたしの中ではしっくりとしゅんちゃんでした…。

道枝ロミオはどんなに荒れ狂ってても常にどこかに品の良さとかすなおな幼さがあって、それは彼がロミオを演じるからこそだなあと思いました。あの澄んだ幼さは、きっと道枝駿佑じゃないと出てこなかった。
ゆえに下手したら幼稚にも見える無鉄砲な愛の悲劇が噛み砕いて腑に落ちたのかも。ほんとうに、当たり役だと思います。
あとすごい失礼なんですが、思い出し笑いとか恋に酔ってる時のため息がしっかりキモくてとても良かった、あんなに顔貌の美しい道枝駿佑なのにしっかりきっちりキモいのすごい。えらい。恋してる時の人間はだいたいキモいので……。

舞台上で基本的に声を張ってることが多かったぶん、ジュリエットと二人きりになった途端声が優しく甘くなるのがめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ良かった、ドキドキしたー!恋する相手に対してよく見られたいかんじとか、愛しさのあまり声の輪郭がとろけるかんじとか、ギュッと詰まってて……宴会の裏で初めてジュリエットと顔を合わせた瞬間の発声の仕方がそれまでとぜんぜん違ってほんとうにハッとしました、これが道枝駿佑の演じるロミオの恋の表現……。
ジュリエットとふたりのときがロミオが落ち着いて喋るシーン多いのもあるとは思うんですが、それにしても対ジュリエットの声色の変え方すごい良かったなあ、しゅんちゃんこんな演技するんだってちょっとびっくりした。今後の恋愛ドラマ超楽しみです。

最後のダンスシーンの前、自分の胸の上で倒れているジュリエットの背をぽんぽん、と二度叩いて合図する道枝ロミオがとっても良かった…あそこめっちゃ"""道枝ロミオ"""て感じでしたね…紳士っぽさが…
わたしはダンスがうまくてちょっと笑えるという経験を今回初めてしました。なんやかんや身のこなしがジャニーズだし、ダンスになると表情がふわっとほどけて"道枝ロミオ"から"道枝駿佑"に戻っちゃうしゅんちゃんがとってもかわいかった。ジュリエットとのペアダンスのときに周りのみんなに囃し立てられて照れたように笑う、あれは、キャピュレットとモンタギューがいがみあってなければ普通にありえたかもしれない、結ばれたロミオとジュリエットのもしもの話なのかもなあ、とちょっとほろりと切なくなったりして。
 
 
で、わたしは茅島みずき嬢にも全力で拍手をしたい、わたしの今日のカテコの拍手の半分は茅島ちゃんのための拍手です。
一幕の「ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」この言わずと知れた名台詞の、「ロミオ」の呼び方がめーーーーちゃくちゃ可愛くて胸を撃ち抜かれた……ろみお〜、って、なんか、すごい可愛い呼び方するんですよ茅島ジュリエット……あの呼び方ほんとうにとってもとってもかわいかった、めちゃくちゃきゅんとした……
バルコニーシーンで身を乗り出したジュリエットの左肩から、はらりと髪が落ちるのがすごく可憐で素敵だったな。茅島ジュリエット、溌剌としててとても凛とした女の子だからこそ時折見せる可憐さにどきりとさせられました。ここジュリエットを見上げるかたちで客席に背を向けてあぐらをかいてるロミオがめちゃくちゃわんわんでこれまた可愛いんですよ。とってもかわいいバルコニーシーン。
二幕からのブチギレジュリエットがわたしはだーいすき!いやあここ茅島ジュリエットで見たからこそこんな好きなのかも、なんかああいうモードっぽい美人がただただブチギレてるのめっちゃいいっすね。景気がいい。ティボルトが殺されたことでばあやにロミオを悪し様に言われたときのキレっぷりが最高。

道枝ロミオがすなおで幼い感じなのに対して、茅島ジュリエットはちょっとイマドキというか、あんまり古典ぽくないのが新鮮で良かった。ばあやにロミオのこと褒められて「ッシ!」てガッツポーズするのとか「今行くってばー!!」ってちょっとキレ気味に吠えたあとロミオにニコッて笑うとことか、なんか、令和なんですよ茅島ジュリエット(?)
そもそもジュリエット、めちゃくちゃ行動力の塊みたいな14歳だからそんな古典ぽくもないのかな…いやシェイクスピアの女性だいたい行動的だから割と定番ヒロインなのかも…?

初めてロミオとジュリエットがはじめて一夜をふたりで明かした日のシーン、暗い舞台上に当たったライトでふたりの白いシャツとワンピースから身体の輪郭が透けて見えていたのが、演出として意図したものだとしたらとても色っぽいな、と思いました。なんかここ、これまでぼかされてた、おままごとみたいに浮かれてた二人の関係が急に実像を結んだ気がしてグッときた。身体ってすごくリアルだから。
もう朝が来た、ひばりが鳴いたよ、違うわあれはナイチンゲール、行かないで、行かなきゃ、やっぱりここにいるよ、いいえ行ってあれはひばりだった、って、離れ難いけど離れなきゃいけないふたりが葛藤する、滑稽にも見える必死さと白い布から透ける身体が、なんかとても生っぽくてドキッとした。

わたしは松岡和子訳のファンで、今回の戯曲が彼女のものだと知ってとっても嬉しかったのですが、松岡訳のジュリエットの台詞に印象的なものがあります。
「世界中どこへでもわたしの旦那様について行く」
これ、ジュリエットが大人たちの口ぶりや”結婚”に憧れたからこそ出てきた、ちょっと背伸びをした”旦那様”って解釈なんですが、茅島ジュリエットが弾むようにこう発言するの、あまりにも可愛いんですよ…………女の子の背伸びがあまりにもリアル……(恐らく他の訳文ではこのようにはなっていません)ちなみに原文は”And follow thee my lord throughout the world." my lordを『わたしの旦那様』と訳すのめちゃくちゃかわいいな!?この辺は新潮文庫の『深読みシェイクスピア』に詳しいのでご興味のある方は是非。
 
ままごと遊びみたいなのに苛烈な恋に落ちてしまった仇敵の家のこどもふたりが、好きだ!恋だ!でも敵だ!なら結婚してしまおう!ってなるの、ふたりにとっての愛のサンプルが周りにいる大人で、それが結婚だったからなのかな~っていう解釈が、初めてすとんと腑に落ちた。
繰り返しになってしまうけど、それはやっぱり、今のこの二人が演じたロミオとジュリエットだったからだと思うのです。
古典って当たり前だけどいろんな演者がいろんな戯曲と演出で何度も繰り返し上演するもので、だからこそ、わたしはこのタイミングで道枝駿佑と茅島みずきの演じるロミオとジュリエットに出会えたことがとても嬉しい。わたしにとっていちばんしっくりくるロミオとジュリエットだったから。
 
もちろんロミオとジュリエット二人だけでなく、脇を固める俳優陣も素晴らしかった!
モンタギュー・キャピュレット両家のご両親の激しさ、ばあやのひょうきんさと愛情、ロレンス牧師の導き手としての信頼、マキューシオの身体表現と異形ぶり(白塗りなのは個人的によくわからなかった)、ベンヴォーリオのまともさ、ティボルトの憎悪、パリスは……あいつめちゃくちゃ被害者ですね、ぜったいいい奴だった…………。
こんな素晴らしいキャストに囲まれて主演ができたことも、ほんとうに誇らしく思います。
 
ずっと深くのめりこめなかったロミオとジュリエットに、こうしてもう一度向き合う機会を貰えたこと、それが自分の好きなグループのひとりの主演舞台だったことがとても嬉しくて、いてもたってもいられずブログを書きました。
欲を言うならロンドンのグローブ座を模していたらしい東京グローブ座公演めちゃくちゃ観たかったな〜!!!
 
しゅんちゃんの初主演舞台がロミオとジュリエットでよかった。自担がこの舞台仕事を掴んだ道枝担を心から祝福して、そして少しだけ嫉妬しています。
緊急事態宣言下でどうなるかわかりませんが、どうかどうか、25日の大千穐楽を無事に迎えることができますようにと祈りを込めて。